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福祉・介護政策の実績と提言力

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和田かなめ講演会(2月4日)報告(その10) 日本の「健康社会格差」の実態を知ろう

 

和田かなめ講演会(2月4日)報告(その10)

             日本の「健康社会格差」の実態を知ろう

 

東京大学の先生たちが中心になり、2009年度から2013年度の5年間、文部科学省科学研究費新学術領域「社会階層と健康」で学際的な研究をやっておられます。この5年間で、社会階層と健康の実態解明とメカニズムの理解、その制御方策について多くのデータや提言が蓄積されています。2014年度から科学研究費補助金終了研究領域(研究代表者 川上憲人)により、「社会階層と健康に関する学際ネットワーク」として活動しておられます。

その、資料に注目しているのですが、下は「社会階層が健康に影響するメカニズム」のパネルです。

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出所:文科省 科学研究費 平成21~25年度文部科学省科学研究費新学術領域研究

現代社会の階層化の機構理解と格差の制御:社会科学と健康科学の融合

 

ーーー以下は「テープ起こし」(講演の再現記録)ではなく、スライドからの転載です。---

 

1 社会的格差

どの社会でも、社会階層が低くなるほど、平均寿命は短くなり、疾病の発症リスクが上昇する傾向がみられる。

これは、少ない資産、教育程度の低さ、不安定な仕事、貧しい住環境などによる社会的経済的ストレスの多い状況での生活が影響している。そのため、福祉政策では、セーフティネットに加えて、不利な状況を抜け出す方法を提供する必要がある。

 

2 雇用形態と健康問題 職業階層による健康格差

日本では全労働者の38%にあたる2,015万人が非正規雇用者だ。非正規雇用者に対する企業の福利厚生は手薄であるため、非正規雇用者の健康問題は課題となっている。

肉体労働や事務職などの人たちと、企業の管理職や役員などの人たちの間には、所得の格差に加えて、健康の格差があることが多くの国の調査で示されている。

ヘルシンキ大学が日本人や英国人などを対象に行った調査では、事務職の人は、管理職の人より、主観的健康度が約2.6倍低下することが示された。

東京大学精神保健学分野の研究チームが企業規模や正規・非正規の雇用形態を考慮し行った調査では、男性ではパートタイマー、女性では派遣・契約社員が、心理的ストレスを感じている割合が高いことが分かった。

 

3 仕事によるストレス

慢性的なストレスはさまざまな病気のリスクを上げるため、仕事のストレスが大きい人の健康度は悪くなる傾向がある。

産業医科大学などの全国12ヵ所の自治体調査では、仕事のストレスが小さい男性に比べ、仕事のストレスが大きい男性は、脳卒中のリスクが約3倍高いことが分かった。

仕事のストレスの大きい女性管理職は、脳卒中のリスクが約5倍高いことが示された。

男性ではブルーカラー非管理職の人たちで、女性ではストレスの大きい管理職で、ストレス・マネジメントが重要となっている。

 

4 職場内のソーシャルサポート

職場でのストレスは、疾病のリスクを高める。

仕事上のコントロール度(自由度や裁量権)がある人ほど、健康状態が良好である傾向がみられる。

仕事の要求度(負荷や責任)が高い上に、コントロール度の低い仕事には、とくに健康リスクが高まる。仕事上の努力に見合わない低い報酬(賃金や昇進、自分に対する満足感)も疾患と関連している。
 それに対して、職場内のソーシャルサポートによって、人々を守ることができる可能性が示唆されている。

 

5 所得格差と食事バランス  「2014年国民健康・栄養調査」

世帯所得が600万円未満の中・低所得者層は、食事が主食(穀類)に偏り、野菜や乳類の摂取量が少ないなど、栄養バランスが欠けている傾向があることが示された。

野菜の摂取量は所得600万円以上の男性は322g、女性313gだったのに対し、200万円未満では男性253g、女性271gに減少。肉も野菜と同様に開きがあった。

家計支出が多いほど、総エネルギー、脂質、タンパク質、炭水化物、カルシウム、ビタミン、食物繊維などをバランス良くとっている傾向がみられる。

 

6 家計支出が少ないと健康リスクは上昇

多くの研究で、家計支出が少ないほど栄養の摂取状態が悪く、心臓病や脳卒中などの循環器疾患のリスクが上昇していることが示されている。

山口大学医学部などの調査

家計支出が少ない女性では、肥満、高血圧、脂質異常症、糖尿病の割合が高くなることが分かった。女性の方が家計支出の少なさによって生活に影響を受けやすい可能性がある。

 

7 所得格差と健康習慣

社会階層が高い人ほど、健康に良い行動をとる傾向がある。

東京大学公共健康医学科研究チーム調査

学歴、所得と運動習慣の関係を分析したところ、学歴や所得が高い人ほど、運動習慣があることが分かった。反対に、社会階層が低い人では、喫煙率が高く、運動習慣が少ないなど、健康に悪い生活習慣の多いことが示されている。

 

8 低所得者の人ほど健康診断を受けていない

所得の低い人ほど健康診断を受けない傾向がある。「2014年国民健康・栄養調査」

健康診断を受けない者

  男性では600万円以上は16.1%、200万円未満で42.9%に上った。

  女性では600万円以上は30.7%、200万円未満で40.8%に上った。

 

9 医療へのアクセスの格差

社会的要因は、医療へのアクセスの格差にも影響する。日本は国民皆保険制度により、すべての国民が比較的少ない自己負担で医療を受けることができるが、現実には所得による医療アクセスの格差がみられる。

所得の少ない人や教育年数の短い人たちは、病院での受診を控えたり、健康診断を受けない傾向があることが内閣府などの調査で示されている。

 

10 強いネットワークが健康を改善 

良好な人間関係や、強いサポートを得られるネットワークは、家庭、職場、地域社会における健康を推進する。

人間関係のネットワークが小さいと、他者からのサポートが少なくなるなどの要因で、健康状態が悪くなる傾向が示されている。

社会的に支えられていると感じることが、生きていく上での精神的、現実的な励みとなる。他者からの社会的・精神的な支えを期待できない場合、人々の健康状態は悪化しやすい。

 

                            この項以上

 

 

 

和田かなめ講演会(2月4日)報告(その9)基本的人権と福祉・健康格差

和田かなめ講演会(2月4日)報告(その9)

      基本的人権と福祉・健康格差

 

基本的人権と福祉

 福祉には人権を大事にするという感覚が大切だと、学生たちに常々言ってきました。人権を大切にするとは差別をしないことです。社会福祉の言葉にノーマライゼーションという言葉があります。障害のある人もない人も、子どもも大人もお年寄りも一緒に暮らすのが普通ですということです。ノーマライゼーションの対極にある言葉は、セグリゲーション(segregation隔離主義)、差別主義です。そのことをしない。「~だから」ということをしないということです。障害者だから、女性だから、子どもだから、被差別部落だからということをしないことです。しかし、現実には差別が残っているのです。そのような状況にあるからこそ人権を大切にする営みが大切です。

 

健康格差

近藤克則という地域医療に携わってこられた方がおられます。健康格差ということを言われている。「所得が少ない人は、所得が多い人より死亡リスクが2倍上昇する」と言われています。乱暴な言い方で言えば、「命の長さが所得によってきめられている」ということです。

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男性で人生の最後の9年は介護や高度な医療が必要です。女性は12年間は高度医療と介護が必要ということです。この期間、どなたかの何らかの世話にならなければならないということです。

                               今回以上

                         次回は健康の社会的格差

 

和田かなめ講演会(2月4日)報告(その8) 2冊の本から戦争を考える

和田かなめ講演会(2月4日)報告(その8)

               2冊の本から戦争を考える

 

最近2冊の本を手元で読んでいます。

伊藤秀子さんの『父の遺言』(花伝社)「戦争は人間を狂気にする」。お父さんは憲兵だったのですが。「戦争をしてはならない。戦争は人間を狂気にする」と残された言葉をまとめた本です。昨年の10月出されました。もう一冊は、『毛沢東の対日戦犯裁判』という本で、内容的に多少時期的にははかぶる面がありますが、大澤武司さんという熊本学園大学の若い研究者の最近出した本です(中公新書)。こちらは11月に出された本です。

戦争の問題は70年過ぎた今、今だからこそ考えていかねばならないと考えています。法律を次々に安倍内閣は作っています。そして共謀罪が出てきています。「安倍内閣をなんとかぶっ倒さねばならない」というこの規模の集会をやれば共謀罪を適用される時代が来ているわけです。今のところそうはならないと言ってはいますが。そういう危険・可能性だってある訳です。それには第9条をもっと大事にすべきと考え、安保や沖縄の問題に象徴的に表れています。地震の時にオスプレイが使われました。そういうことも注意してみていかなければならない。先ほど紹介した伊藤秀子さんの『父の遺言』にあるのですが、「戦争は人間を狂気にする。戦局が悪くなるとますます指揮官も狂っていく。そして歯止めがきかない」とあります。(http://kadensha.net/review/r_2016titinoyuigon.html

 

和田かなめ講演会(2月4日)報告(その7)  TPPについて  「食事は餌ではない」「四里(しり)四方(しほう)に病(やまい)なし」

 

和田かなめ講演会(2月4日)報告(その7)

  TPPについて 「食事は餌ではない」「四里(しり)四方(しほう)に病(やまい)なし」

地震がなければ、定年退職で、4月から農業をすることにしていたのです。農業に対して技術はなくともそれなりの考えを持っていたつもりです。TPPについて聞くと周り近所のみんなが反対しています。反対しているのに何でこんなに強引に進めるのか。海外から安い農作物がたくさん入って来ることになります。「ばってん、輸入品は安かろう・・・・?」でいいのか。安全で安心か?ということです。私のうちでは、つれあいと息子がカラーピーマンをつくっています。地震の前、60mのビニールハウスを3棟建てていまして、7月から12月まで、総計で約4トンの出荷をしますが、この4トンがいくらになると思いますか?150万円ちょっとしかないのです。それから肥料代などを引くわけです。安全安心のものをと、40℃から50℃のハウスの中で作業しています。多くの農家がそういう状況です。それがTPPにより、安いものに押される。中には遺伝子組み換え作物、農薬漬けの作物、食品添加物等の作物が大量に入ってくるわけです。例えば、フライにする鶏肉は一番遠いところはブラジルから輸入されてくる。長い距離を船便でやってきます。船を動かすとCO2も出ます。フードマイレージと言う言葉がありますが、安いことは本当に私たちにとって安いことになるのだろうかと問いたいのです。そうではない。私たちは直観的にもおかしいと感じています。食事は・・、人間の食事は餌ではないのです。

フードマイレージ:食料の輸送量に輸送距離を掛けた数値。トン・キロメートルで表示で、食料の輸送による二酸化炭素の排出が環境に及ぼす負荷の程度を表す指標。外国に比べて日本のフードマイレージが高いのは、その量が多いうえに、地球の反対側から輸入するなど輸送距離の遠さに起因する。(的場輝佳 関西福祉科学大学教授)

https://kotobank.jp/word/%E3%83%95%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%B8-187264

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TPPという用語は、環太平洋戦略的経済連携協定(TRANS-PACIFIC STRATEGIC ECONOMIC PARTNERSHIP AGREEMENT)の頭文字ですが、いろいろ考えてみました、「あべさんとつけみにゃ パフォーマンス パッとせん」また、「トランプは ぱっぱとう捨てた協定」を紹介します。いかがでしょうか。

 

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日本の食糧自給率を見ていると、オリジナル自給率もカロリー自給率もグラフの通りです。皆さんが食べられるたこ焼きのたこも、天草からではなく、アフリカ沖からの輸入です。そのような状況で自給率がどんどん下がっている。

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「四里(しり)四方(しほう)に病(やまい)なし」と言う言葉があります。四里四方=顔見知りの関係から食べ物をとると病気しないということ=地産地消です。しかし、経済を動かさなければならないので地産多消とのバランスをとることが必要になるわけです。特に私は、「そこでしかできないもの」、「この季節にしか取れないもの」をつくることが大事だと思います。そして、若者・女性・リタイヤした人と農業と福祉の連携、道の駅や農業の第6次産業化を目指すことなどが重要だと思うわけです。

                             この項以上

和田かなめ講演会(2月4日)報告(その6)  震災後の対策=ケアシステム構築の重要性

 

和田かなめ講演会(2月4日)報告(その6

      震災後の対策=ケアシステム構築の重要性

これはすぐ私の家の近くの南側のエリアです。そこを回っていたら、「無事です。避難所にいます」という看板が立っていました。これを見たとき私はほんとに涙が出ました。地震の中で46名の方がなくなり、そのうち27名の方が益城町の方です。その後、本震による死者より多い、その3倍の震災関連死の方がおられます。いまだに震災関連死の認定を受けている方がおられます。地震ですからまず逃げるのが第一ですが、その後のケアのシステムが、医療だけでなく、ケアシステムの十分なものが出来ていたなら百数十名の方は助かっていた可能性が十分あるわけです。震災の対策にはそのようなことも考えていかなければならないと思います。

和田かなめ講演会(2月4日)(その5) 益城町の震災被害から考える

 和田かなめ講演会(2月4日)(その5) 

                                  益城町の震災被害から考える

 ①激甚災害・特定非常災害・非常災害

最初は4月25日激甚災害が指定され、次いで4月28日特定非常災害そして、5月10日非常災害に指定された。非常災害は、東日本大震災で復旧に対応できない自治体が相次いだことを踏まえ、2013年制定の大規模災害復興法に盛り込まれた規定。指定は今回が初めてで、関連する政令が5月13日に公布、施行された。東日本大震災から復興の糸口をということでつくられた法です。東日本大震災から6年目になろうとしているが、まだまだ復興は遠い。原発の問題は何も解決していないと言える。

②震災と原発

原発の問題をよくよく考えてみれば、布田川断層からつながる日奈久断層が動く可能性は十分あるわけです。そうしました時に、川内原発福島第一原発と同じ状況になることはないとだれも否定できません。私たちはそういうことを考えていかなければならないと思うわけです。

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益城町の被害

この会場には私の住む益城町にから参加の方が何人かおられます。(自分の例で)大変恐縮ですが、この写真(省略)は上空から見た私の家です。青いビニールシートがかかっています。横が倒れている小屋です。2年待ってください役場が見に来るのは2月11日ぐらいに見に来ます。4人で軒先避難をしました。4月14日の時すぐに友人が助けてくれました。しかし16日にもっと悪くなりました。2度目の地震です。日本全国どこでもこのようなことが起こってもおかしくはないとお思います。今、2階を1階建てに改修しています。(略)

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これは、被害にあったお墓です。なぜお墓を上げたのかというと、お墓は社会保障の対象であるはずなんですが、そうはなっていない。お墓と社会保障の関係をのちほど考えます。(以下略)

 

和田かなめ講演会(2月4日)(その4) 熊本地震は「恒久法」で!

 

和田かなめ講演会(2月4日)(その4) 熊本地震は「恒久法」で!

先ほど中島(社民党県連)代表が述べられましたが、安倍首相は震災後、参院選前、3度熊本にやってきて、このように言っています。首相官邸のHP等からとった一部です。

①「~熊本県の皆様が震災前の笑顔を取り戻す日がやってくるまで、また、熊本県を始め、全ての被災者の皆さんが安心して暮らせる復興を成し遂げるその日がやってくるまで、できることは全てやる、そして今まで同様、先手先手に取り組んでいくことを心がけながら復興を進めていく、全力で復興に当たっていく決意を新たにいたしております。財政面でもできることは全てやっていきたいと考えています。」(4月23日)。②そしてこうも言っています。「財政支援につきましては、補正予算やあるいは激甚災害指定で自治体の負担軽減を図っていく考えでありますが、更に自治体の財政状況に丁寧に目配りをしていく中において、あらゆることを念頭に必要な支援をしっかりと行っていきたいと思います。その中において、自治体の財政状況が立ち行かなくなるということは絶対ないようにしていきたいと思いますので安心して事業に取り組んでいただきたいと思っています。」(6月4日)。

ところが今日の熊日を見てください。熊本県の予算は赤字状態、大変な状態になっています。

被害額は3兆7,850億円(熊本県試算)あった。家屋被害が17万棟。熊本地震復旧等予備費の使用決定や第二次補正予算で関連予算として4千億ほどを出してくれた。7千億円のうち、何でもやります何でもやりますの半分です。何でもやりますと言っても、半分?しかやってない。安倍首相の「何でもします。」はリップサービスと思ってます。

財務省は、今までいくつもの新聞記事をみても、熊本大地震とは言わないのです。「大」を付けないのです。財務省はおそらく、中信越地震規模程度と見て、すぐにそろばんをはじいたのですね。ここを変えさせることが大切です。

熊本地震に関し特措法ですら自民党国会議員は声をあげてくれません。私は、特措法ではなく特別恒久法の制定を提案をしていきたいと思っています。なぜかというと、益城町の布田川断層地震で動くというシュミレーションがありました。これは0.9%で確率でした。この0.9%が2度、4月14日と16日に起こっているわけです。震度7でした。このことは日本全国の地震シュミレーションを見ると、全国どこでも起こりうるということです。また、スーパー台風とか豪雨とか考えもしていない、経験していないような災害の時代に生きているわけですから。災害に対し災害対策基本法ではなく、もう一つそれを生活再建をするような恒久法の制定をしなければならないと考えるわけです。