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福祉・介護政策の実績と提言力

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和田かなめ講演会(2月4日)報告(その11)『B.S.ラウントリー、W.ヴェバァリッジと英国の社会保障「ゆりかごから墓場まで」』

 

和田かなめ講演会(2月4日)報告(その11)

『B.S.ラウントリー、W.ヴェバァリッジと英国の社会保障ゆりかごから墓場まで」』

 

下は、受験の時期によく売れている小さなチョコ菓子『Kit Kat』です。「きっと勝つぞ」というので友達同士や親が子に受験前にあげるお菓子です。

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ラウントリー (1871-1954)のお父さんは、ヨーク市のこのKitKatチョコレート会社の社長です。KitKatというチョコレートは、現在は会社がネスレ社に買収され、キットカットは日本はじめ各国で生産を続けています。

ラウントリーは英国のヨーク市で1897年から1901年まで貧困調査をしました。そして、1901年に貧困と最低生活費の調査のデーターを公開しました。熊本学園大学にはこの調査報告書原本(洋書)があります。

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ヨーク市は毛織物の盛んな都市です。その調査時ヨーク市民の27.84%が貧困生活でした。今の体力を維持できないという人たちです。お家はチョコレート会社ですから、一軒、一軒回って「この一か月に食べたバターは何ポンドですか、家計はどうですか」と徹底的な調査を行ったわけです。この「今の体力を維持できない層」を貧困線(poverty line)としました。4人に一人いました。その原因は社会経済的構造でした。日本では生活保護を受けている人に対し「あの人は怠けもんだもん。働らかんもん」という声があります。ものすごく古典的な貧困観です。ラウントリーは貧困がどうやって作られているかということをこの時代に解明しているのです。日本ではいまだに貧困観が古く、どこかの市の担当者がへんなジャンパーをつくっていることが新聞に載っていました。ラウントリーはそれから36年後同じ調査をおこない、その時にも31.1%が貧困者でした。その中で彼は年齢グループによって貧困割合が異なることに注目しました。そこから「人生での周期的な変動で、3回貧困に陥る危険がある」という、貧困と労働者のライフサイクル・モデルを発見したのです。1回目は自分が子どもだった時代、2回目は結婚して自分の子どもを育てている時代、3回目は子どもが独立し、自分がリタイアして収入が途絶えるか低下する時期であるとしたわけです。この3度貧困になるとわかったから、そこを何とか底上げしようとするのが社会保障の考え方です。このライフサイクルモデルは、労働者がある時期に貧困に陥る可能性があることを理論的に示したので、その後の社会保障の基礎となり、福祉国家の構想が生まれるのです。

ヨーク貧困調査の結果に影響を受けた、その当時の学生調査員W.ヴェバァリッジは1942 年 12 月に公表されたヴェバァリッジ委員会による『社会保険とサービスに関する報告書』(ヴェバァリッジ・レポート)をだします。そして戦後のイギリスの社会保障は「ゆりかごから墓場まで」と言われるようになるわけです。「ゆりかごから墓場まで」とは、「お墓」も社会保障の対象ということなのです。

                            この項以上